社会福祉法人聖嬰会の起源

1877年7月西南の役直後、ベルナール・プティジャン司教の招きに応じて、フランスから4名の幼きイエズス修道会修道女が来日した。ビリオン師は、神戸上陸3日後から、シスターたちの住まいである民家の仮宿に貧しい幼な子を連れて来た。

年末には50～60名になり、この間、居留地41番の家屋を入手・改造し、子どもの家「神戸センタンファンス」と命名して始まったのが本会最初の事業である。子供は増え続け、100名以上となったので、遂に、大阪に分かれることになった。大阪出身の子供16名を伴い、2人の修道女は、大阪川口外国人居留地に「大阪センタンファンス」を設立した。

このようにして1881年1月長崎に、1886年京都に、1889年熊本にと、5つの「センタンファンス」がそれぞれ設置され、熊本には同時に、医療事業も開設された。なお、「大阪センタンファンス」は1932年に、「神戸センタンファンス」は1948年にそれぞれの使命を終え、両施設とも「京都センタンファンス」に合流、合併された。

時の流れの中で、戦中戦後の荒波にもまれながら、新たに、1946年久留米に養護施設(現児童養護施設)が、1955年鹿児島県名瀬市(現奄美市)に乳児院(1992年3月31日閉園)が、1969年熊本に保育園が、次いで1972年鹿児島県薩摩郡(現薩摩川内市)入来町に精神薄弱者更生施設(現障害者福祉施設)、1988年には鹿児島市名瀬市(現奄美市)に特別養護老人ホームが誕生した。

1946年生活保護法、1947年児童福祉法、1951年に社会福祉事業法の施行に伴い、各施設は社会福祉法人設立の認可を受けた。
1971年6月14日、宗教法人幼きイエズス修道会は、従来の各施設を統括して、「社会福祉法人聖嬰会」を組織しその認可を得、事務所を兵庫県宝塚市仁川高台2丁目1番37号に置くことになった。

その後、京都センタンファンス(現京都聖嬰会)は、2005年3月、社会福祉法人京都司教区カリタス会に、長崎センタンファンス(現マリア園)は、2007年3月、社会福祉法人うら梅の郷福祉会に経営移管され、現在6施設を有している。

「聖嬰」とは幼きイエスを意味しており、来日当初の施設名「センタンファンス」に由来している。それは同時に「マリアにおいて幼子となられた神の愛」を、特に小さい人々、貧しい人々に示すカリスマを受けている修道会が、幼子、病人、種々の面で他者の援助を必要としている人々の中に、幼子イエスを見、イエスを養育されたマリアとヨゼフに倣って、彼らを愛し、尊重し、保護し、彼らに奉仕することを喜びとし使命としていることを示す名でもある。

それゆえに本法人は、カトリック精神に基づき、法人の設立母体であるショファイユの幼きイエズス修道会の創立者レーヌ・アンティエが、世の恵まれない人々のために生涯を捧げ尽くした愛の精神を受け継いで、法人の各施設が緊密な連携を保ちながら、〈一つの心 一つの魂〉をモットーとしてその事業の遂行に全力を傾ける。